本帖最后由 動漫Kirito 于 2019-11-18 22:23 编辑
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神眼英雄之幻想譚~失踪的青梅竹馬成為天使的事件~ QQ群<-----群連結第3話 魔眼(前半)
モニカが失踪した。
莫妮卡失踪了。
誰にも、何も言い残さずに、いなくなってしまった。ターコイズ王国からヴァーミリオン王国の帰国する道中、誰にも知られずに姿を消したというのだ。
对谁都没有留下任何话就消失了。在从達可易斯王國回到瓦米利翁王國的路上,无人知晓的消失了。
いったい何が起きたというのか?
到底发生了什么事?
モニカはどこへ行ってしまったのだろうか?
莫妮卡到底去哪里了?
捜索隊は編制されたが、発見には至らず、時間だけが過ぎていき、やがて、国の上層部はモニカの捜索を諦めた。
虽然编制了搜查队,但是过了一段时间还是没有发现,不久,国家的上层放弃了对莫妮卡的搜索。
しかし、シオンは諦めなかった。諦めるという選択肢はシオンにはなかった。誓ったのだ。結婚して、絶対にモニカを幸せにすると。
但是,西昂没有放弃。西昂没有放弃这个选择。他发誓了。结婚后,一定要让莫妮卡幸福。
死んだと決まったわけではないのなら、探すしかない。簡単に諦めたら、きっとモニカに怒られる。
既然不並沒有確定死了,就必須尋找她。轻易放弃的话,肯定会被莫妮卡骂的。 だから、シオンは城の外に広がる世界へ目を向けるようになった。そして、今まで以上に努力することにした。第一王子の立場では自由に城の外へ出ることはできないけれど、ただ腐るよりは遥かにマシだと思ったから。
因此,西昂开始关注城外广阔的世界。並且,决定比以前更加努力。作为第一王子,不能自由地出城,但是觉得远比腐烂要好得多。
でも、周囲はそれを許そうとしなかった。
但是,周围的環境不予許這樣。
シオンはモニカの代わりに、モニカの妹であるエステルと婚約させられることになる。エステルはモニカを通じて親しくなった仲で、シオンの数少ない友人だ。
西昂,和代替莫妮卡的莫妮卡的妹妹艾丝蒂尔订了婚。艾丝蒂尔是經由莫妮卡变得亲密的朋友,是西昂少有的朋友。
エステルもシオンの気持ちは知っていてくれたから、無理しないでくださいと言ってくれた。
艾丝蒂尔也知道西昂的心情,所以要他不要勉强。
けど、国同士が決めた話だから、当事者であっても拒絶はできず、表向きは婚約者として振る舞うことになる。
但是,因为是国家之间决定的事,即使是当事者也不能拒绝,表面上是作为未婚妻而行动。
そうしてさらに時は流れ、モニカの失踪から二年が経ち……。 シオンは十三歳になった。
然后时光流逝,莫妮卡失踪过去两年了……。 西昂已经十三岁了。
◇ ◇ ◇
ある朝、ターコイズ王国の第一王子の寝室で。 シオンがおもむろに目を開けて――、
某天早上,在達可易斯王国的第一王子的卧室里。 西昂慢慢地睁开眼睛——。
「またこの夢か……」
「又是这个梦吗……」
ぽつりと、苦々しく呟いた。シオンは十三歳になってからここしばらく、頻繁に同じ夢を見るようになっていた。モニカに出会うまではよく見ていた夢だ。モニカに出会ってからは、あまり見ないようになってしまった夢でもある。
嘟哝着,苦涩。西昂从十三岁起就经常做同一个梦。这是在遇到莫妮卡之前经常做的梦。在遇到莫尼卡之后,变得不太常梦見的梦。
いや、夢自体は見ていたのかもしれないが、モニカのことに夢中でさして気にとめていなかったのかもしれない。当時はモニカに相応しい相手になろうと、目を覚ますと毎日のように早朝訓練に励んでいたから。
不,说不定梦中的自己看着,不过,说不定因為对莫妮卡着迷而没有在意。當時,我想成為莫妮卡的好對手,所以睁开眼睛後,每天清晨都持續训练。 。
まあ、早朝訓練は今でも行ってはいるのだが……。
嘛,清晨的训练现在还在进行……。
何度も何度も同じ夢を見ているからだろうか。
可能是因为做了好几次相同的梦吧。
当時は朧気に夢を見ていた程度のことしか思い出せなかったけど、昔よりは夢の内容を覚えている気がする。
虽然当时只是记得模糊地做着梦的程度,但感觉比以前还要记得梦的内容。
それはやはりここではない違う世界で、生きている夢だ。
那果然是不同的世界,活生生的梦。
だが、辛い夢だ。プレッシャーばかりで、嫌なことだらけで、楽しいことなんて何もない人生を過ごす夢だ。
但是,這是一個艰辛的梦。梦裡過著 尽是压力,尽是讨厌的事情,而沒有樂趣的生活。
頑張っても褒められることなんてなかった。辛いことばかりの人生だった。たった一つ、楽しみにしていることもあったが、それも奪われた。
即使努力也不会得到表扬。人生只有艰辛。虽然只有一件事情让我很期待,但它也被剥夺了。
だから、最後は……、最後は……。
所以,最后是……最后是……。
「また思い出せない」
「又想不起来」
まるで靄がかかっているように夢の記憶が急速に薄れてしまう。シオンはもどかしそうに顔を曇らせた。
宛如雾霭笼罩一般,梦中的记忆急速淡薄。西昂不耐煩地低下了臉。
自分の中に誰か、知らない誰かがいる。 いや、いるかもしれない。 その答えは自分にもわからない。思い出せない。
自己心中有誰,也有不認識的人。 不,也許有。 这个答案我自己也不知道。想不起来。
だから、思い出したい。思い出して、自分が何者なのか、自分が誰なのか、それを知りたい。そんなことを、ふとした拍子にいつも思う。
所以,我想回想起来。想起来,我想知道自己是什么人,自己是谁。这样的事情,我总是在不经意间想到。
「……こんな夢ばかりみるのは、俺が俺以外の誰かになりたいからなんだろうか?」
「……會做这样的梦,是因为我想成为除我之外的其他人吗?」
モニカの失踪から二年。いまだ生還の知らせは届いていない。国の上層部もとっくに忘れ去っているように振る舞っている。
莫妮卡失踪两年了。生还的消息还是没有收到。国家的上层也早已忘却。
けど、きっとモニカはこの世界のどこかで生きている。シオンはそう信じている。だから、外の世界に出ていって、失踪したモニカを探しにいきたい。けど、第一王子の立場ではそれができない。
但是,莫妮卡一定在这个世界的某个地方活着。西昂这样相信着。所以,想去外面的世界寻找失踪的莫尼卡。但是,作为第一王子的立场,不能那样做。
そんな現状がもどかしかった。外の世界に出られるのなら、別人にだってなりたい。
那样的现状令人着急。如果能走出外面的世界,寧願成为别人。
自分以外の誰かとして生きる夢ばかり見るのは、そんな自分の願望が発露した結果なのかもしれない。
只做自己以外的某人活着的梦,说不定是那样的自己的愿望暴露的结果。
「…………」
シオンは自虐的な笑みを覗かせると、視界に入ったサイドテーブルに置いていた小説を手に取った。
西昂露出自虐的笑容,拿起放置在进入视野的侧面桌子上的小说。
表紙には「ノアの大冒険」と書かれている。それはモニカが好きな小説のタイトルで、シオンも子供の頃から憧れて読んでいた小説だ。
封面上写着“诺亚的大冒险”。这是莫妮卡喜欢的小说的标题,也是西昂从小就很憧憬的小说。
何度も読み込んだ本である。お気に入りのシーンならそらんじることもできる。この本の感想を一日中語り合ったこともあったし、いつか二人で一緒に冒険に行こうと約束したこともある。
这是一本读了好几次的书。如果是喜欢的场景的话,也可以享受。我曾经整天谈论过这本书的感想,也曾约定过有一天两个人一起去冒险。
二人の立場で外の世界に冒険に行くことがどれほど難しいのか、よく知りもしないまま……。
以两人的立场去外面的世界冒险是多么的困难,也不太清楚……。
「…………さて、訓練だ」
「…………那么,训练」
シオンはサイドテーブルに本を置き直すと、朝の日課をこなすため、城内の演習場へと向かうことにした。どこか、つまらなさそうな声で……。
西昂重新把书放到旁边的桌子上,为了完成每天的早課,决定去城内的演习场。哪里,用无聊的声音……。
◇ ◇ ◇
この世界は概ね、無駄に平和だ。
这个世界大体上是徒劳的和平。
ターコイズ王国とヴァーミリオン王国を含む近隣諸国では、この数百年間、ただの一度も大規模な戦争が起きたことはない。国にとって大きな変革が起きたこともない。
包括塔科伊斯王国和瓦米利昂王国在内的近邻各国,在这数百年间,从未发生过一次大规模的战争。对国家来说没有发生过重大的变革。
各国が共通に崇める『グリゴリ』という天使達が定めた聖典によって、国同士の大きな争いが禁じられているのだ。
根据各国共同崇拜的“格里戈里”这些天使们所制定的圣经,禁止国家之间进行大规模的斗争。
しかし、それでも万が一に備えて他国への抑止力は必要だし、治安維持のための実力も必要だし、危険な生物も蔓延っているから、国は一定の費用を投じて軍を編成し続けている。
但是,为了以防万一,对其他国家的威慑力是必要的,为了维持治安,必须要有实力,危险的生物也在蔓延,国家投入一定的费用继续编制军队。
だから、世界が平和でも力をつけることは無意味じゃない。理不尽な火種は至るところにあるのだから。
所以,即使世界和平,增强力量也不是没有意义的。因为不合理的火种到处都有。
けど……。
但是……。
自分が日課としてやっているこの訓練に意味はあるのだろうか? モニカを探すために外の世界に出たいのなら、他にもっとすべき努力があるのではないだろうか? シオンは最近、そんなふうに思う時がある。
自己作为每日必做的这个训练有意义吗? 为了寻找莫妮卡而想去外面的世界的话,不是还有其他更应该努力的事情吗? 西昂最近有时会这么想。
二年が経った。モニカが失踪してから、二年が経ったのだ。だというのに、シオンはいっこうに外の世界に出られない。
两年过去了。莫妮卡失踪已经两年了。尽管如此,西昂却怎么也到不了外面的世界。
外の世界に出て自由に動き回るために、城から脱走するという手段を除いておよそ考え得るあらゆる手段を模索して努力してきたが、どんなに努力をしても報われない。
为了到外面的世界里自由活动,除了逃离城堡这一手段以外,我摸索着大概能想到的一切手段努力着,但是无论怎么努力也无法得到回报。
自分の努力は無駄なんだろうか? と、シオンはそんなことを思って、今日も演習場の敷地に入る。既に日が昇っているのか、目映い日差しが演習場を照らしていた。
自己的努力是徒劳的吗? 西昂这样想着,今天也进入了演习场。太阳已经升起来了,耀眼的阳光照耀着演习场。
「眩しい」
「耀眼」
シオンは演習場の入り口で目映そうに眼を細め、無駄に平和な空を見上げた。
西昂在演习场的入口处眯起眼睛,徒劳地仰望着和平的天空。
本当に、うんざりするほどに平和だった。
真的是,和平到让人厌烦的地步。 続けて日差しから逃げるように視線を下げると、演習場内には高級そうなクロースアーマーにその身を包み、模擬剣を携えた一人の剣士が立っていて――、
从阳光中逃跑般的视线继续往下看,演习场内站着一位身穿豪華盔甲,手持模拟剑的剑士站在那里——。
「……おー、おはよう。クリフォード」 「……早上好。克利福特」
シオンは幼馴染の友人に声をかけた。クリフォード・ヴァーミリオン。ヴァーミリオン王国の第一王子であり、モニカとエステルの兄である。
西昂对青梅竹马的朋友打了招呼。克利福特·瓦米利翁。瓦米利翁王国的第一王子,莫妮卡和艾丝蒂尔的哥哥。
年齢はシオンの二つ上で十五歳。まだ成長途中で身体は出来上がっていないが、その剣技は既に最強の頂を射程に入れている。剣の天才だ。
年龄比西昂大两岁,十五岁。虽然在成長期身体还没有完全發育,但是劍術造詣已達到最高峰。剑的天才。
そんな隣国王子のクリフォードがどうしてターコイズ王国の演習場にいるのか。それは昨日からクリフォードがターコイズ王国へ遊びに来たからで――、
那样的邻国王子的克利福特为什么在達可易斯王国的演习场呢?那是因为从昨天开始克利福特来到了達可易斯王国游玩——
「おはよう、シオン。待っていたよ」
「早上好,西昂。我一直等待着」
クリフォードは嬉しそうに顔をほころばせ、シオンに語りかけてきた。
克利福特高兴地笑着对西昂说。
「うん。俺はなんだか無性に引き返したくなってきた」 「嗯。我不由自主地想要回去了」
シオンは億劫そうに溜息をついて応じる。
西昂懒洋洋地叹了一口气。
「数ヶ月ぶりの再会なんだ。互いの腕前がどれだけ上がっているのか、手合わせといこうじゃないか」
「這是隔了数个月的再会。我们来比试看彼此的技巧有多高吧。」
「いや、昨日の晩餐で再会してたっぷり話をしたじゃないか。それに、剣術で戦ったら俺がお前に敵うわけがないだろう」
「不,昨天晚餐时我们再会时不是聊了很多吗?而且,如果用剑术来比試的话,我怎么可能与你为敌呢」
「細かいことはいいんだ。確かに剣術だけで戦ったら十回中十回僕が勝つ。けど、シオンはそこいらの剣士よりも動ける。そして、シオンの本領は魔法にある」
「细节什麼的不重要。确实,如果只用剑术比試的话,十次中十次我都会赢。但是,西昂比那边的剑士还要能动。并且,西昂的本领是在魔法」
つまりは、剣と魔法を組み合わせて戦えば、シオンはクリフォードにも迫るということだ。
也就是说,如果把剑与魔法组合起来比試,西昂也会逼近克利福特。
「せっかく休暇を利用して隣国から来ているんだから、今日くらい休めばいいのに」
「好不容易利用假期从邻国来的,今天就该休息吧。」
「つれないことを言わないでくれ。僕はシオンと遊ぶためにエステルと一緒にターコイズまで足を運んだんだから」
「别说无情的话。我为了和西昂一起玩和艾丝蒂尔一起來到達可易斯」 「だったら違う遊びをしよう。ボードゲームとか」
「那就玩别的游戏吧。棋盘游戏什么的」
「それはそれで面白そうだけど、朝の手合わせもやろう。どうせ二人ともこの場で訓練をするんだから」
「那倒挺有意思,早上也碰碰头吧。反正两个人都在这里训练」
「朝からしんどいなあ」
「从早上开始就好累啊」
「しんどいのが嫌な奴は毎朝、早朝から訓練なんてしないさ」
「讨厌辛苦的家伙不会每天早上都从早上开始训练的」
クリフォードはずばり断言する。
克利福特如此斷言。
「ははっ。俺はそれでもしんどいのは嫌だよ」
「哈哈。儘管如此我還是討厭辛苦」
シオンが疲れたように笑って言う。
西昂好像累了似的笑著說。
「……頑張りすぎなんだよ、シオンは」
「……西昂你太努力了」
クリフォードがぽつりと呟く。 克利福特嘟哝着。
「ん?」 「嗯?」
シオンは少し眠そうな顔で首を傾げる。
西昂歪着头露出一副昏昏欲睡的臉。
「いや、なんでもない。直にエステルも来るはずだ。僕の次に相手をしてやってくれ」
「不,没什么。艾丝蒂尔也应该马上来了。作为我的下一个对手」
「ええ~? 朝からヴァーミリオンの戦兄妹と連戦とか、余計にしんどい……」
「啊~?从早上开始就和瓦米利翁的战兄妹连战啦,更加辛苦啦……」
「そう言うな。エステルもお前と手合わせするのを楽しみにやってきたんだから。こないだ会った時にシオンに近距離線で後れを取ったのが悔しかったみたいだ。今日は絶対に勝ってみせると息巻いていたぞ」
「别那么说。因为艾丝蒂尔也是很期待和你交手的。上次见面时在與西昂的交手中以些許之差落敗了,好像很不甘心。說今天一定要赢给你看。」
「あー、そうか……。なら、仕方がないか」
「啊,是吗……。那么,没办法了」
エステルの名前が出ると、シオンは存外あっさりと受け容れた。他に思い人がいるにもかかわらず、姉の方を好いているにもかかわらず、妹と婚約者の関係にある。その事実が後ろ暗いのだ。
艾丝蒂尔的名字一出现,西昂就意外地爽快地接受了。但尽管有其他心人,尽管喜欢着姐姐,却仍然和妹妹订婚。那个事实背后是黑暗的。
だから、ほんの少しだけ、後ろめたそうな影を覗かせた。クリフォードにも気づかれないくらいに……。
所以,只露出一点点内疚的影子。甚至连克利福特都没有注意到……。
「おいおい、僕との対戦は嫌がったくせに、エステルとの対戦はすんなり承諾するんだな」
「喂喂,明明讨厌和我的对战,但是和艾丝蒂尔的对战却輕易的就答应了。」
クリフォードが少し戯けて指摘する。
克利福特稍微开玩笑地指出。
「エステルは婚約者だからな。いつもイリナの相手もしてもらっているし。あいつ、エステルのことを実の姉みたいに慕っているからな。そのお礼だよ」
「因為是艾丝蒂尔的未婚夫啊,所以總被得伊莉娜當作对手看待。那家伙,把艾丝蒂尔当做亲姐姐一样爱慕着。就是那个谢礼」
シオンはふふんと笑って今の婚約者であるエステルのことを語り、先ほど一瞬だけ覗かせた後ろめたそうな影を完全に消し去った。
西昂突然笑着讲述了现在的未婚妻艾丝蒂尔的事,完全消除了刚才只露出一瞬间的内疚的影子。
「なるほどな。つまりシオンはシスコンってことだ」
「原来如此。也就是说,西昂就是個妹控」
クリフォードはニヤリと笑って言う。
克利福特笑着说。
「……それはお互い様だろう、お兄様?」
「……那是彼此彼此吧,義兄?」
シオンはふふんと頬を緩めて言い返す。
西昂突然放下脸颊反驳道。
「お兄様は止めてくれ。ゾワリとする」
「哥哥住手。別再爭吵了」
途端に苦笑いするクリフォード。もしも将来シオンとエステルが婚姻を結べば、クリフォードはシオンの義兄になるのだが、時折シオンはこうやってクリフォードをからかう時がある。
克利福特瞬间陷入苦笑。如果将来西昂和艾丝蒂尔结为婚姻的话,克利福特就会成为西昂的义兄,但偶尔西昂也会这样戏弄克利福德。
「冗談はこのくらいにして、始めるか?」
「开玩笑差不多就到此為止了,可以開始了嗎?」
シオンが嘆息し、クリフォードに水を向けた。
西昂叹了一口气,把水扔給了克利福特。
「ああ。もっと奥へ行こう」
「啊!再更進去裡面點」
そうして、二人は演習場の入り口付近から奥へと移動する。ある程度動き回って派手に戦っても周囲に物的被害が出ないくらいの位置へ来ると――、
然后,两人从演习场的入口附近向里面移动。到了即使在某种程度上激烈地對決,也不会给周围带来物品破壞的位置——
「ここら辺でいいか」
「这邊行吗?」
シオンが呼びかけた。
西昂呼籲。
「ああ。いつでもかかってきていいぞ」
「啊!随时都可以哦」
クリフォードが向き直り、余裕のある表情で告げる。奢っているわけではなく、油断しているわけでもない。現にクリフォードには微塵も隙がなく、訓練用の模擬剣を手にしている。
克利福特转身,用從容的表情告诉他。并不是放水,但也不是疏忽大意。现在克利福特手里拿着训练用的模拟剑,没有任何缝隙。
「ふーん……、じゃあ!」
「哼……那么!」
シオンはノーモーションで駆け出し、勢いよくクリフォードに模擬剣を振るった。
西昂毫不猶豫的衝上前,很有气势地向克利福德挥舞了模拟剑。
「おいおい、魔法は使わなくていいのか?」
「喂喂,不使用魔法吗?」
クリフォードは自分の模擬剣で難なくシオンの一撃を受け止め、ふふんと笑って真正面から問いかける。
克利福特用自己的模拟剑輕鬆的地接住西昂的一击,呵呵地笑着从正面问道。
「剣だけでどこまでクリフォードと戦えるようになったのか確かめたいんだ」
「我想确认,只用剑能和克利福特战斗到什么程度」
「なるほどな。じゃあ、シオンが魔法を使うまで、僕も闘気は使わないでやろう」
「原来如此。那么,在西昂使用魔法之前,我也不要使用鬪氣」
闘気。それは戦士の適性を持つ者の中でも極一部の者にしか発現しない希少なスキルだ。
鬪氣。这是在拥有战士适性的人中只有极少部分人才能发现的稀有技能。
このスキルを保有している者は魔力を闘気と呼ばれるエネルギーに変換し、肉体に纏うことで己の限界を超えて基礎能力値を向上させたり、時には放出することで攻撃に転用させたりすることができるようになる。第一線で活躍する超一流の武人達はほとんどこのスキルの持ち主であると言われている。
持有此技能的人将魔力转换成被称为鬪气的能量,包覆在肉体上可以超越自己的极限,使其提高基础能力值,有时通过释放来转用于攻击。据说活跃在第一线的超一流的武士们几乎都是这个技能的持有者。
なお、スキルとは属人的な特殊能力のことである。先天的に獲得しているものと、後天的に獲得するものがあり、魔法系の才能に偏っているシオンには魔力を闘気に変換して近接戦闘に生かすスキルを保有していない。
另外,技能是個人的特殊能力。有先天就获得的和后天才获得的,具備魔法才能的西昂没有具備将魔力转换为鬪气,使其在近戰中发挥的技能。
けど――、
但是——
「はっ、言ってろ」
「哈,说吧」
モニカに認めてもらおうと思ったあの日から、シオンが剣術と体術の鍛錬を起こった日は一日たりともなかった。
為了讓莫妮卡有招一日能認可他,西昂日以繼夜的持續锻炼剑术和体术。
だから、シオンは闘気を使えなくとも一端の戦士だ。それを証明するかのように、シオンはクリフォードに臆することなく剣で手合わせを挑む。
因此,西昂即使不使用鬪氣也是一個战士。为了证明这一点,西昂毫不畏惧用剑挑战克利福特。
「シオンはすごいよ。魔道士でここまで剣を扱える奴を僕は知らない。また腕を上げたみたいだな」
「西昂好厉害哦。我不知道魔道士有能使用剑到这种程度的家伙。好像又能抬起手臂了」
クリフォードはシオンの攻撃をいなし続けながら、感嘆して言う。
克利福特一边继续朝西昂的攻击,一边感叹道。
「本職の剣士様であるクリフォードに勝てた試しはないけど、なっ!」
「虽然没有战胜本职剑士克利福特的勝算,但是!」
シオンが横薙ぎに思い切りのいい一撃を放つ。
西昂果斷的釋放出一技橫掃
「当たり前だ。僕はシオンが頑張り始めるよりもずっと前から、剣の鍛錬を続けてきたんだ。先天的なスキルも保有しているし、日常的に実戦経験も積んでいる。それでシオンに負けてたまるか」
「当然了。比起西昂的努力,我从很久以前就开始练习剑了。拥有先天的技能,也累積了日常的实战经验。所以我怎么能输给呢」
クリフォードは軽くバックステップを踏んで、間合いスレスレの位置で攻撃を躱してしまう。
克利福特轻轻地往後踩一步,好不容易避开了攻击的位置。
「くそ、涼しい顔をしやがって……」
「可恶,一脸凉快……」
「そろそろ魔法を使ったらどうだ? 僕も闘気を使って戦ってみたい」
「差不多该用魔法了吧?我也想用鬪气战斗一下」
恨めしそうにジト目になるシオンに、クリフォードがワクワクした面持ちで呼びかける。
克利福特以欢心雀跃的表情对看滿臉怨恨的西昂喊道。
「……まあ、剣術でクリフォードには及ばないことはわかったしな」
「……嗯,我明白剑术比不上克利福特的。」
わかったというよりは、もとよりわかっていたことだが……。シオンは手隙の左手でぽりぽりと頭を掻くと、溜息をついて首を縦に振った。
与其说是明白了,倒不如说是本来就清楚的事情……。西昂用空閒的左手搔了搔頭,叹气的摇著头。
魔法を使用して戦闘するために、後退してクリフォードと距離を置く。クリフォードは剣を握っていない左手で、ちょいちょいとシオンを挑発した。
为了使用魔法战斗,往后退与克利福特保持距离。克利福特用没握剑的左手,挑衅了西昂。
直後、剣を握っていないシオンの左手に、魔法陣が浮かび上がり――、 紧接着,在西昂没有握着剑的左手上,魔法阵浮现出来——。
「風弾エアバレット」
「 風彈⟨ aer bullet⟩」
シオンはクリフォードに左手を向けて、呪文を詠唱する。すると、魔法陣から複数の風の弾丸が放たれ、クリフォードへと迫った。が――、
西昂将左手转向克利福特,咏唱咒文。于是,从魔法阵放出了复数的风的子弹,逼近了克利福特。但是……
「はあっ!」
「啊!」
剣を構えたクリフォードが一喝すると、光のオーラのようなものが肉体から噴出されて、シオンの風弾が弾き消されてしまう。
架起剑的克利福特一喊,像光一样的东西从肉体中釋出,西昂的空气子彈被抵消了。
「げっ。一級とはいえ、闘気で攻撃魔法を防ぐとかアリかよ……」
「嘿。虽说是一级,但是用鬪气来防御攻击魔法还是有的……」
顔を引きつらせるシオン。
西昂臉角搐。
「シオンの基礎パラメーターなら、三級までの攻撃魔法を使っても構わないよ。攻撃魔法じゃないならランクの制限もなしで大丈夫だ」
「西昂的基础能力的话,可以使用到三级为止的攻击魔法。如果不是攻击魔法的话没有限制等級也没关系。」
クリフォードが不敵に笑って告げる。
克利福特忍不住笑着說道。
「いやいや流石にそれは……」
「哎呀哎呀哎呀,真不愧是那个……」
と、顔を引きつらせるシオン。魔法には一級から十級までの順に階級が存在し、階級が上がるにつれて魔法の難易度や威力や規模が上がっていく。
就这样,西奧的脸部抽动着。魔法依照等級分為一级到十级,随着等级上升魔法的难易度和威力和规模也随之上升。
使用者のステータスによっても威力は大きく左右されるのだが、今のシオンでも最下級の一級の攻撃魔法を使えば人を吹き飛ばすなり殺傷しうるほどの威力があるし、二級の攻撃魔法だと人を数人まとめて攻撃することも可能な事象が発動する。
根据使用者的能力,威力也会被大幅度地左右着,不过,现在的西昂用最低级的一级的攻击魔法也有把人吹飛或者杀伤的那样的威力,二级的攻击魔法發動對數人一起攻击發生這樣的事也是可能的。
三級の攻撃魔法にもなるとさらに威力や規模が上がるので、とても個人に対し訓練で使用するようものではない。
至於三级攻击魔法后,威力和规模会进一步提升,所以对个人来说不是用来训练的。
「実は前にシオンと会った時からさらにレベルが上がったんだ。ランクも2になった」
「其实从之前和西昂见面开始,level提高了。rank也变为2了」
「なっ……、ラ、ランク2!?」
「什……等级2!?」
シオンは唖然と目を丸くした。
西昂目瞪口呆。
レベルやランクとは、この世界に生きる人類が天界から授かった聖なる加護のことだ。過酷な修練を重ねたり、死線を越えたりすることでレベルは一つずつ上がり、レベルが十上がることでランクも一つ上がっていくとされている。
level和rank是指这个世界的人类從天界所受到的神圣保佑。经过多次严酷的修炼,或跨越生死邊緣的情境下,level會上升一級,而level上升十等的話,rank会跟著上升一級。
レベルの最大数は百で、ランクの最大数は十だと言われているが、人類でその領域にたどり着いた者はいないとされている。
據說level的最大数值是100,rank的最大数值是10,不过,在人类當中能夠达到那个领域的人被认为是不在的。
レベルは数字が増えるにつれて上がりにくくなっていくからだ。歴史上、人類で確認された最高の数字がレベル80で、ランクが8だと言われている。
因为随着数字的增加,level越来越难上升。历史上,人类确认的最高数字是level 80,rank 是8。
シオンの現在のレベルは9で、ランクは0である。そして、クリフォードのレベルは20で、ランクは2になったという。
西昂的当前level为9,rank为0。然而,克利福特level在20,rank为2。
レベルが上がることで強さの指標となる基礎パラメーター値が上昇して強くなるのだが、ランクが上がるとスキルを獲得したり基礎パラメーター値に補正がかかったりとさらに強くなる。
由于level上升成为强度上升的指标的基础能力值变得强,不过,rank上升所获得的技能,对基础能力值进行補正的话变得更加强。
同ランク内であればレベル差はあっさりとひっくり返ることも多いが、ランクが変わってしまうと基礎パラメーター値に明確な補正の差が出てしまうので、レベルの差を覆すのは一気に難しくなる。
如果是在同rank内的话,level差轻易地翻转的情况也很多,不过,rank变化了的话基础能力值的補正差別就會顯現出來,要一口气推翻level的差就會变难。
すなわち、ランク0のシオンとランクの2のクリフォードの間にはランク二つ分の山が存在する。
也就是说,在rank0的西昂和rank2的克利福特之间存在两个rank的山。
「一級の攻撃魔法じゃもう闘気を纏った僕を傷一つつけることはできないぞ? 二級の攻撃魔法をまともに食らうと、闘気で防いでもかすり傷くらいは負うだろうけど」
「用一级的攻击魔法,並不能伤害已经充满鬪气的我吧?如果被二级的攻击魔法正面地攻擊的话,即使用鬪气防御也只会受到一点擦伤吧」
「それでもかすり傷とか。前から思っていたけど、クリフォードって本当に人間か?」
「尽管如此就只有擦伤而已。從以前就想过,克利福特真的是人类吗?」
「失敬だな。そういうシオンだってまだランク0なのに、魔力の基礎パラメーターはランク2相当の魔道士並みにはあるんだろ。だいぶ人間を止めていると思うぞ?」
「真没礼貌。这样的西昂虽然还只是rank0,但魔力的基础能力却和rank2的魔道士相當了吧。你已經超過了很多人了吧?」
クリフォードは呆れ気味に言い返す。
克利福特講訴著他的感想。
「まったく……。じゃあ、望み通りにやってやるよ。魔力疑似強化イミテーティド・ハイパーフィジカル……、魔力疑似鎧イミテーティド・エナジーメイル」
「真是的……。那就如你所愿的去做吧。魔力拟似强化 仿·超物理……、魔力拟似铠甲仿·能量甲」
シオンは小さく嘆息すると、身体に魔法陣を展開させるのと同時に呪文を詠唱して、新たに魔法を発動させる。
西昂轻微叹息后,在身体周圍展开魔法阵的同时咏唱咒文,发动新的魔法。
前者は対象の肉体と身体能力を強化する魔法で、後者は対象の肉体を包み込むように光の障壁を張り鎧とする魔法だ。いずれも三級の魔法で、闘気と比較すると欠点もいくつかあるのだが、二つ合わせれば闘気と同じような芸当が可能となる。
前者是强化肉体和身体能力的魔法,后者是像包覆肉体一樣地展张开光的屏障作为铠甲的魔法。全都是三级的魔法,与鬪气比较的话也有几个缺点,不过,如果二者合起来的話是有可能發動与鬪气相同的功能的。
シオンが闘気を扱うクリフォードと渡り合うためにはこの魔法が必須だった。
西昂为了与擅長鬪气的克利福特交锋这个魔法是必须的。
「魔法は便利だよなあ」
「魔法真是方便啊」
クリフォードは魔法が発動するのを律儀に待ってやりながら、そんなことを言う。
克利福特一边等待着魔法的发动,一边说着那样的话。
「そっちだって闘気で肉体を強化して身体を守っているだろ。お互い様だ。というより、闘気の方がすぐに発動できるし、応用が利いて便利だろう、がっ!」
「那边也是用鬪气强化肉体来保护身体的吧。彼此彼此。与其这么说,不如说鬪气马上就能发动,应用方便吧,哎!」
シオンはそう言うと、闘気を纏ったクリフォードに向かっていったのだった。
西昂这样说着,朝着充满鬪氣的克利福特走去。
================ 【名前】シオン・ターコイズ
【名字】西昂•達可易斯
【種族】ヒューマン
【種族】人類
【年齢】13歳 【性別】男 【レベル】9
【level】9
【ランク】1
【rank】1
【基礎パラメーター】
【基础能力】
・膂力:E(27/100) ・敏捷:E(27/100) ・耐久:E(27/100) ・魔力:D(57/100)
【特殊パラメーター】
【特殊能力】
・魔法:A 【スキル】
【技能】
・魔の祝福
・魔之祝福
特殊パラメーター『魔法A』の項目を追加し、基礎パラメーター『魔力』の等級を一つ上昇させる。また、レベルの上昇に伴う基礎パラメーター『魔力』の上昇値に大補正。
追加特殊能力『魔法A』的项目,使基础能力『魔力』的等级上升一級。同时,与水平上升伴随的基础能力『魔力』的上升值大補正。
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================ 【名前】クリフォード・ヴァーミリオン
【名字】克利福特・瓦米利翁
【種族】ヒューマン
【種族】人類
【年齢】15歳 【性別】男
【レベル】23
【level】23
【ランク】2(基礎パラメーター値に補正)
【rank】2(基礎能力補正)
【基礎パラメーター】
【基础能力】
・膂力:D(59/100) ・敏捷:D(59/100) ・耐久:D(29/100) ・魔力:D(29/100) 【特殊パラメーター】
【特殊能力】
・剣術:A ・闘気:A
【スキル】
【技能】
・天賦の剣才 特殊パラメーターに『剣術A』の項目を追加。ランクアップ時の膂力と敏捷のパラメーターボーナスを1.5倍(30→45)。
・天赋的剑才 特殊参数追加『剑术A』的项目。等级上升时的膂力和敏捷的加成提高1.5倍(30→45)。
・成長大補正 レベルアップの速度に補正。
・成长大补正 補正升级速度。
・魔力変換(闘気) 特殊パラメーターに『闘気』の項目を追加。魔力を闘気に変換することで『膂力』『敏捷』『耐久』を一時的に向上させることができる。
・魔力变换(鬪气) 特殊参数追加『鬪气』的项目。通过将魔力转换成鬪气,可以暂时提高『膂力』『敏捷』『耐久』。
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